「ダーティペア」ケイ・ユリ

 萌えの代表的なキャラを取り上げてとことん語るこのシリーズ、今回は「ダーティペア」ケイ・ユリ、小説版1980-05、TVアニメ版1985を取り上げる。
 ダーティペアは、「女性主人公の男性向け作品」「複数ヒロイン」「恋愛はオマケ」という、いまでは特別珍しくないというより「アニメの代表的パターン」と言うべきものを作り出した作品だ。 

 なお、今まで取り上げたキャラのラインナップは萌えキャラ一覧を見てほしい。

 WWWA(世界福祉事業協会)のトラブルコンサルタント、コードネーム「ラブリーエンゼル」ケイ・ユリは、行く先々で大惨事を引き起こすことから、誰もがその正式コードネームではなく「ダーティペア」と呼ぶ。
 彼女達がトラブルコンサルタントに登録されているもっとも大きな理由は、ふたりが揃って初めて発動する未来予知能力を持つエスパーであること。

 この設定は、小説版のものでTVアニメ版でもほぼ同じだが、TV版は超能力の設定が無くなっていて、なんでトラブルしか産まないふたりがトラコンを続けられているかの説明はない。
 そのへんはもう「こちら葛飾区亀有公園前派出所」の両津のようなもんで、「だってアニメだから」ですませられてしまっている。その他にも、ふたりの衣装が肌を露出しているのに防御は大丈夫なのか、とかに対する回答(言い訳程度だが)は原作小説にはあるが、アニメ版は「だってアニメだから」理論で何の説明も無い。
 そんなわけで、原作とアニメの間には大きな隔たりもある。萌え的にはアニメ版の影響の方が大きく、原作の影響は間接的なものと言える。
 しかし、原作小説の挿絵画家の安彦良和と、TVアニメ版の土器手司のどちらが萌えに影響を与えたかと言われれば、あえて高千穂遥だと答えたい。ダーティペアの新しさは主としてその設定にある。

ダーティペアという作品

パロディ要素

 ダーティペアのネーミングは高千穂遥の趣味である(女子)プロレスの「ビューティ・ペア1976からの引用だ(ちなみに高千穂遥というペンネーム自体レスラーの名前から取っている)
 そしてコードネームのラブリーエンゼルは、アメリカのドラマ「チャーリーズエンジェル」1976のパロディであろう。複数(3人)のセクシー美女が主人公のアクションという意味では、ダーティペアの先輩にあたる。
 また、彼女達にはムギという宇宙生物クァールの相棒がいて、これはA・E・ヴァン・ヴォークトSF小説「宇宙船ビーグル号の冒険」の中の一編「黒い破壊者」に登場する種族である。

 このように、ダーティペアは様々な作品からの引用やパロディに溢れていて、その軽さが多くのファンを掴んだ。
 アニメ版もスタートレックなどのパロディが入っていたりするが、少々浅いと言わざるをえない。ただその分かりやすいパロディが、多くのオタクにはちょうど良かった、とも言える。
 小説版がSF好きを名乗るなら1000冊読め!というオタク向けであるなら、TV版は原作小説だけは読んだことがある程度のオタク向けだ。
 ちなみに、逆にスタートレックにもダーティペアの二人の名前が登場したりしている。

 そもそもが、この二人が高千穂遥の知人をモデルにした「内輪ウケパロディ」だったりもする。
 ちなみに、直後に野田昌宏が「銀河乞食軍団」で、ダーティペアと同じ人物をモデルとした、お七とネンネを登場させている。

アニメ

 高千穂遥は、ダーティペアを書くにあたり「とにかく画期的なものを書く」と知人に喧伝していた。
 そしてそれは確かに画期的な作品であり「ヒットさせるつもりでヒットした」作品であった。
 言ってしまえば「あざとい」ものではあるのだが、その開き直りはその後のアニメの路線を大きく決定づけるものとなった。
 それは、大月アニメ(スターチャイルド・ガンジス)やパイオニアLDC(ジェネオンエンタテインメント)を代表とする、あざとさを隠さない路線の確立だ。

 戦闘シーンがふんだんに登場し、美少女が戦うパターンは「うる星やつら」や「さすがの猿飛」などで現れていたが、それが主体の作品ではなかった。
超時空騎団サザンクロス1984は、女性3人が主人公で非常に新しかったが、残念ながらメカデザイン、ストーリー、商品展開もろもろは失敗としか言いようが無かった(ロリコンを採り入れたボディって…)
 SFで美少女が乱闘を繰り広げるアニメは直前に「くりいむレモン」シリーズ第4作「POPCHASER」1985-03-13があり、TV版ダーティペアキャラデザの土器手司の他、森山ゆうじ西島克彦庵野秀明などの錚々たるメンバーが参加していることで有名だ。ノリ的にはこれのTV版が「ダーティペア」と言ってもいいぐらい。

 その後も「戦え!!イクサー11985プロジェクトA子1986等、宮崎駿言うところの「セーラー服が機関銃撃って走り回」るアニメは大量に生産されていくことになる。もちろんこれは、比喩でありセーラー服がブレザーでもメイド服でも、機関銃が2丁拳銃でもレーザーガンでも構わない。
 なお「くりいむレモン」シリーズ第10作の「STAR TRAP」は完全にダーティペアのパロディ。
 パロディと言えば「かんなぎ」のOPでナギ姉妹の衣装は、ダーティペアを意識したものだろう。

ライトノベル

ダーティペア」は、「あによ〜 」が口癖のケイの一人称で書かれ、表紙は「クラッシャージョウ」に続いてTVアニメのキャラクタデザイナとして著名な安彦良和、極めて漫画・アニメ的…つまりライトノベル的だ。
 高千穂遥は、新井素子の作品群とともにライトノベル作家の始祖的存在であり、「ダーティペア」はジュブナイルからライトノベルへのターニングポイントでもあった。

 ただし、漫画・アニメ的、映像的な作品ではあるが、決して「ダーティペア」は映像化に向いた作品ではない。文章なら予算も手間も気にせずに「大量の兵器」と書けばいいが、それを映像化する予算・手間は尋常ではない。
 そんなわけもあって、TV版は様々にスケールダウンしているのは残念。

 ちなみに、ダーティペアシリーズのタイトルは「ダーティペアの大○○」で統一されていて○○の部分だけが変わり巻数は書かれない。これは現在のシリーズ物ライトノベルの手法として確立している。例えば「涼宮ハルヒの○○」であり「フルメタル・パニック! 動詞+英語3単語」である。

ダーティペアというジャンル

日本人名

 ケイ・ユリという名前は、どー見ても日本人のそれであり、特にユリはその容姿も日本人形的ものだ。
 当時はスター・ウォーズの影響が大きく残る時期で、スペースオペラと言うと欧米のものという意識が強く、日本人がいると場違いな感じがしていたものだが、ダーティペアはあっさりこれをひっくりかえした。
 日本でもスター・ウォーズを意識した映画が幾つか作られたが、正直なところ、日本人体型でのスペースオペラは、滑稽に映った。
 三船敏郎が、スター・ウォーズのオファーを断っていなかったら、多少事情は異なっていたかもしれない。
 この日本人的な名前は、一気にヒロインを身近に感じさせることに成功した。
 そして小説が、オトコっぽい思考をもったケイの一人称で描かれるのも、感情移入を容易にしている。

女同士の相棒(バディ)

 手塚治虫ロストワールド1948のように、ヒロインが二人いる場合もあったが、タイプの違う二人というわけでもなく、主役然としたところもなかった。または「来るべき世界」1951のようにそれぞれにペアとなる男性がいた。
エースをねらえ!1973などのスポコン少女ものはヒロインは相棒ではなくライバルという関係で、多くはそこに三角関係が加わっている。
 その後も、複数ヒロインは登場するも、まず確固としたメインヒロインがいて、サブヒロインが立ち代わりやってくる、というパターンまでしかいかず、男性抜きで二人とも主役として十分な活躍をするのは、やはりダーティペアが嚆矢と言っていいだろう。

 アイドルデュオはまず双子・姉妹路線「ザ・ピーナッツ1959リンリン・ランラン1974から始まり、「ピンクレディー1976でタイプの違う二人となり、もはや定番といえる人気を持っていた。
 物語より先に、アイドルが女性ペアの面白さに気づいていたということだ。

 赤毛のショートでスポーティー、黒髪のロングの才媛、これを基本とした女性二人の主人公は、ダーティペア以降、雨後のタケノコと呼ぶに相応しい勢いで繁茂した。
 白肌ロングと褐色ショートと言う組み合わせ。体力と知力。前線とバックアップ。
 ケイはマシンの操縦担当でもあリ、概ねオトコっぽいこと担当である。
 ユリは後方支援、作戦、愛想担当、概ねオンナノコっぽいこと担当だ。
 タイプの違うヒロインが二人いれば、より個性が引き立つ。アンコに塩を入れるとより甘くなる法則だ。
 非常に上手く対照的に作られたキャラで、上手すぎてウソっぽいのだが、その開き直りが新しかった。

男も恋愛もいらない世界

 戦隊シリーズをはじめとして「女性は紅一点」というのが少年向けの作品の定番だった。
 そこに現れた「ダーティペア」。女性の主人公、そしてペア。さらに興味深いのは、恋愛要素は添え物以上のものではないという点だ。

 小説「若草物語」は四人姉妹の物語で、素晴らしいキャラ立ちの名作ではあるが、それはまた姉妹であり、女の子同士の話である以前に「家族」の話であった。
 小説ダーティペアの直後に連載が始まった「キャッツ♥アイ」の来生三姉妹は、少年誌で女性主人公ということで珍しかったが、それは結局「たまたまヒロインに姉妹がいた」という恋愛ものの域に留まるものでもあった。

 同世代の女の子同士の掛け合いが中心で恋愛らしい恋愛もなくても全然問題なく「男の子向け作品として成り立つ」ということを証明したのがダーティペアである。ユリもケイもいい男と見れば色めき立つが、それは相方の女の子より魅力的であることを証明するためであり、結局女の子同士のなかで完結している。
 SFという入れ物に惑わされずに見れば、それは「あずまんが大王」「ぱにぽに(だっしゅ)」「らき☆すた」「苺ましまろ」「ひだまりスケッチ」「がくえんゆーとぴあ まなびストレート!」「ヒャッコ」などなどなど、四コママンガを中心とした「だらだら女子学園もの」が発生する切っ掛けでもある。
 逆に女の子向け作品である「マリア様がみてる」が男の子に大人気となるのも、ダーティペアあってのことと言える。

百合妄想

 男が存在しなくても女性のペアで成り立つというなら、そこで爆発するのは「百合妄想」だ。
 だいたいペアってタイトルからしてアレな上、ペアの片方がユリって名前なのが、なんとも示唆的だ。
 作品本体では、ほとんどそれらしき描写がない故にファンの方の妄想は嫌が応にも膨らむ。

 オタク文化の成熟期にあったダーティペアは、数多くのレズもの同人誌を産んだ。
 そこでオタクは気づく、レズなら女の子しか描かなくていいじゃん!、かわいい女の子二倍増しじゃん!
 もちろん、それ以前も例えば「うる星やつら」キャラ同士でのレズものはあった。
 しかしダーティペアは男性の主要キャラクタがいないので、「エロを描くと高確率でレズ」になる。強制力があるのだ。

少女革命ウテナ」は恋愛要素に溢れているが、天上ウテナと姫宮アンシーの女同士のペアは、ダーティペアなしには産まれなかったろう。

戦闘美少女

 ダーティペアは「リボンの騎士サファイアからの戦う美少女の流れでもある。これに加え女同士の相棒(バディ)という設定は「逮捕しちゃうぞ1986や「2人におまかせ」などの婦警ものも産む。これは「チャーリーズエンジェル」への先祖返りとも言える。
 SFものでは「スターフロント・ガルフォース1985バブルガムクライシス」などが生まれ、さらにはSF婦警という「サイレントメビウス」や「はいぱーぽりす」も産まれることになる。

 戦隊シリーズも「超電子バイオマン1981からは紅一点から、女性隊員二人体制へと移行する。
 特撮好きの桂正和がそれを受けて「ウイングマン」のダブルヒロインを作り、さらにヒロインを追加しヒロイン戦隊をも作る(読み切り作品「学園部隊3パロかん」からの流れでもある)。桂正和はヒーローものを描くことは少なくなるが、その後も複数ヒロインの作品を多く描く。

 その戦隊シリーズ魔法少女をプラスした「美少女戦士セーラームーン」「魔法騎士レイアース」「おジャ魔女どれみ」「ふたりはプリキュア」などの美少女戦隊ものが、少女向けに作られたにもかかわらず男性人気も高いのは、ダーティペアという訓練があったからこそ「これもアリ」と食いつくことができたと言える。
 特に「ふたりはプリキュア」はショートの赤毛とロングの黒髪のペアという、ダーティペアと同じ構成だ。

 そして現在「絶対可憐チルドレン」のように、少年向けに作られた漫画が、アニメ化されるにあたって少女向けを意識したマーケティングがされると言う、なんだか奇妙な状態も産まれている。

超能力者

 TVシリーズではぜんぜん描写がないので結構忘れられがちなのだが、ダーティペアの二人は超能力者である。
「原作はエスパー、アニメはアーパー」と、当時のアニメ雑誌(たしかアニメージュ)で揶揄されていたのを覚えている。と同時に「原作は女子大生、アニメは女子高生」というイメージで、ある意味パワーアップしている。

テレパシー少女蘭」は超能力少女ペアの正当後継であり、「エスパー魔美」や「狼少女ラン」「狙われた学園」「時をかける少女」などの超能力ものの要素を濃く受け継いでいる。なお蘭と翠もショートの赤毛とロングの黒髪のペア。
 全くの余談だが、蘭の兄は凛で「リンリン・ランラン」からの引用だろう。

コスチューム

 小説版は、銀色のセパレートタイプで辛うじて大事な部分が隠れているぐらいの大胆なもの。上はヘソ出しで胸元も大きく開いて、下はぐっと切れ上がったホットパンツ。そして首にはスカーフ(マフラー)と広がった襟。
 ホットパンツは当時でもちょっと流行遅れ感があった上に、銀色っていつの特撮だよ、それにマフラーにその襟…どちらの正義の味方さんですか?って感じではあったが、それは「パルプマガジンSFの無駄に露出度が高くキラキラと銀色に光るヒロインのイラスト」のパロディである。そこには映画「バーバレラ」1968なんかの影響も見て取れる。
 そのどー考えてもダサイ格好が安彦良和の手にかかると、なんかカッコ良くなってしまうのだから恐ろしい。
 マフラーはケイが青、ユリが赤で、髪の色と対称をなしている。
 ベルト、腕輪、ガーターリング、マフラーと、体の各所にグリッド効果の高いアイテムを配置して、よりボディを意識させる工夫がなされている。
 そして、どーみても履いているのはリングシューズだ。
 今回は小説「ダーティペア大脱走」の表紙をベースにイラストを描いてみた。

 アニメ版のコスチュームは、原作をベースとしつつも、ケイは緑に赤のストライプ、ユリは黄色に赤のストライプと、より分かりやすい配色となっていて、デザインもより洗練されたものになっている。
 逆にそのため、SFのパロディというダサかっこいい面白さはほとんど無くなってしまっている。
 下はサイドに肌を露出した穴をあけるなど、一見露出が少ないように見えて、裸を意識させる演出がなされていて、この工夫は後の漫画・アニメの衣装デザインに大きな影響を与えている。これは巫女の袴や脇のような、いったん隠した後に見せるとありがたみが増す、という伝統あるデザインでもある。
 なお、土器手司のデザインは、TVの為に描き起こされた安彦良和細野不二彦(さすがの猿飛など)のラフをさらに発展させたもの。
 土器手司のキャラクタデザインは、当時のオタクが好きなキャラのど真ん中であったと言えるだろう。ダーティペアの成功は、土器手デザイン抜きには考えられない。

 その後「ダーティペアFLASH」という別シリーズも作られたが、これはTVアニメ版からもかなり後に作られたもので、数あるダーティペアフォロワーの一つと言ってよく、萌えに与えた影響もほとんどない。

 ダーティペアの衣装は、ペーパーバックSFの表紙に描かれたピンナップガール的な路線である。二人ともグラマーという設定が、その証左である。
 しかしこの路線は日本では主流とならず、ヒロインの主流は女の子のなりたい女の子という方向へとシフトする。
 その路線は、男性を相手にしていないのにも関わらず男性にも人気が出る。これは逆説的だが、男性を相手にしたダーティペアがあった故の状態でもある。
 この辺り、女の子向け作品であるにも関わらず、どーみても男性向けのキャラクタデザインであった「キューティーハニー」も興味深い。
 この変化は男性作家(高千穂遥永井豪)のヒロインから、女性作家(武内直子CLAMP)のヒロインへの移行でもある。

ユリ

 小説版は「超電磁ロボ コン・バトラーV」に南原ちずる(安彦良和デザイン)に近い感じ。ちなみに、南原ちずると言えば、緑髪の美少女パイロットという、極めてエポックメイキングなキャラである。アニメキャラの髪がなんでもありになる分岐点と言ってもいい。
 アニメ版は、当時「うる星やつら」のアニメーターであった土器手司キャラデザインということもあって、かなりラム(あるいは、しのぶ)っぽい。
 なお、同じ高千穂遥原作で「ダーティペア」より前にアニメ化された「クラッシャージョウ」劇場版の背景の大型スクリーンに、ちょっとだけ安彦版ダーティペアの二人は登場している。

 大和撫子風のキャラクタは肌の露出の多いコスチュームは着ない、というのが暗黙の了解的にある。例えば、「うる星やつら」ならラムはビキニでもしのぶはセーラー服、弁天はビキニでもおユキは和服というわけだ。
 いまも露出の高いコスチュームは、健康的お色気担当、あるいは悪女のコスチュームというのが定番だ。
 お嬢様風のぶりっこ黒髪で白い肌のお人形、典型的大和撫子タイプのユリは、あっさりそんなお約束を破っている。この路線は、結構稀有だ。

 なお、タイトータイムギャル」はユリのデザインそっくりで、パクリと言っても過言ではないが、豊富でクオリティの高いアニメーションもあってゲーム自体がそれなりに面白かったので、そこは不問にしたい。

ケイ

 小説版はウルフカットの赤毛という設定だが、どーみても女体化した「機動戦士ガンダムアムロ(安彦良和デザイン)だ。
 アニメ版は、かなり大げさな前髪とバンダナが特徴的なデザインとなっている。色に関しても髪は赤毛というより真っ赤で、非常に分かりやすい造形となっている。

 ケイは褐色の肌の美女という設定だが、イラストではユリとそれほど違いはない。
 アニメの色指定でも、ユリより濃いと言うくらいで、あまり褐色の印象は強くない。
機動戦士ガンダムララァがいるとはいえ、当時は褐色のヒロインは人気が出ない、というのがわりと常識とされていた。
 ケイは褐色肌ヒロインの代表ではあるが、真に褐色肌ヒロインと言えるのは「ふしぎの海のナディア」を待つことになる。

まとめ

 ダーティペアは、男性向けの作品だからといって男性が主人公である必要は無い、ということを宣言した金字塔的作品であり、それはつまり恋愛は不要ということの宣言でもある。
 さらには、ヒロインは複数いた方が一人よりもファンがつく可能性が高くなると言う、当たり前のことに気づいた作品でもある。
 いまは全く当たり前のこれらのことを示したダーティペアは、萌えのコロンブスの卵と言っても過言ではないだろう。