任天堂は集中戦略を反省している

 任天堂は、NITENDO64では少数精鋭主義を取り、確実に面白く質の高いものを提供していこうという姿勢を取った。1996-06-23から2001-04-14のおおよそ5年間で45本(DD除く)。
 その結果として確かに面白く質の高いソフトは供給されたが、ゲームの幅を狭めてしまった感もある。
 輪をかけて良くなかったのが、ROMという媒体を採用したため、初期タイトルの値が嵩んでしまったこと。もちろん、良ければ高くても買うだろう、しかしゲームはプレイする前に良いかどうか極めて分かりづらい、良いかどうか分からない商品に「良ければ高くても買う」の理屈は成立しないのだ。

 質は数に勝るのも真実だが、特にエンターテイメントは嗜好の幅が広く、数こそが質である面も少なくない。
 DSでは2004-12-02から2006-07-14で既に45本が発売・発表されている。DSはアドバンスのゲームでも遊べるので、アドバンス用のゲームを含めると、圧倒的な量と言ってもいいだろう。「乱発」といわれてもおかしくない程の量だ。
 以前にもまして社外制作(セカンドパーティー)タイトルが多いのも注目したいところだ。任天堂はゲームの編集(品質管理)および出版業務の方に主体をシフトして、日本のEAになろうとしているようにも思える(ちなみにコナミスクウェアエニックスは確実になる気だ)
 これはN64のタイトルだが、トレジャー「罪と罰 〜地球(ほし)の継承者〜」2000-11-21が、「トレジャーのくせに、ちゃんとしたゲームになってた」のに驚いた。いや、それまでのトレジャーのゲームが面白くないとは毛頭思っていないが、「市場を見てないゲーム」だったのは間違いない。任天堂が間に入ることが、ここまで効果てきめんなのかと驚いた。

 また「エレクトロプランクトン2005-04-07のようなアート系、「大合奏バンドブラザーズ2004-12-02のようなエンターテイメント道具系のソフトウェアも、投入して、実験を試みている。
 これらの系統も、上手く転んだら100万本だって売れるかもしれんよ、と思ってたに違いない。
 実は「脳力系」は、任天堂が数撃った弾のひとつに過ぎず、売れる売れないは「紙一重」だったといえる。
 脳トレは狙って撃った弾ではなく、少人数短期開発で全方位に撃ち、当たったところに重点投入、という戦略だったわけだ。