任天堂はソフトウェア配信の失敗を反省している
スーファミ「サテラビュー」1995
衛星データ放送を利用して「スーパーファミコンアワー」1995-04-23を放送した。キャッチコピーは「ゲームが空から降ってくる」だったか。TV画面はゲーム、そして音声でタモリとか伊集院光が喋ると言う、凄い豪華(?)なシステムだ。
仕組みとしては、大ざっば副音声でプログラムの配信をやってた「パソコンサンデー」みたいなもんだが、結局はそれと同等にマイナーな存在として終わった。
ユーザーや放送局は、任天堂の大規模な実験に付合わされた格好だ。
スーファミ「ニンテンドウパワー」1997
書き換え可能のカートリッジを利用して、コンビニのローソンの端末で書き換えられるサービス。
詳しくは「ニンテンドウパワーの終了」に書いたので、そちらも参照して欲しい。
要するにこれも、任天堂の大規模な実験、の域は出なかった。パートナーのローソンのやる気の無さも痛かった。
64「64DD」1999
これはDD(ディスクドライブ)から分かるように「ディスクシステム」の流れのシステム。任天堂に直接申し込まなくてはいけないという、キットの購入の手間からして敷居が高く、任天堂の中規模の実験といったところか。
「ランドネットDD」を利用したスーパーファミコンのゲーム配信も考えられていたようだが、結局実現せず。
DD用のソフトとして開発していた「ゼルダの伝説 時のオカリナ」「F-ZERO X」なども、カートリッジで発売され、散々な結果となった。
「任天堂スペースワールド」等のイベントやポケモンセンターでのゲームボーイのデータの配布。特に1997-11の「ポケットモンスター」のミュウの配布は大成功となった。
当初はお荷物的な機能と思われていた、ゲームボーイの通信機能の柔軟性の高さを見せつけた。
ここで「追加データで、人気や話題を継続させることができる」という自信を持ったと思われる(ミュウのデータ自体はカートリッジに入っている)
「メテオス」を皮切りに、DS「Wi-Fiステーション」2005-11-23(日本)による、体験版ゲームの配布が大好評で迎えられている。これは「ディスクライター」-「ニンテンドウパワー」の系譜と言えるが、今のところ宣伝(プロモーション)目的での配布が主だが、将来的にはソフト販売も視野にあるかもしれない。
そこで、満を持してのWiiのゲームのネット配信である。バーチャルプラットフォームというシステムで、過去のソフトとともに、新作の軽いゲームも配信・販売する予定ということだ。
「ニンテンドウパワーの終了」で指摘した失敗を克服できるのならば、かなり有望なシステムだと思える。
岩田社長は7〜8割のネットワーク接続は狙いたい、とは言っているものの、それほど「やる気の匂いが漂ってこない」のが不安だ。
ただ、アジア戦略を考えると、ソフトウェアのネットワーク配信は避けて通れない道だ。パッケージではすぐにコピーされてしまい利益にならない。
おそらく実験的な意味合いが強いだろうが、N64ベースの神遊機を投入しているし、つい最近は韓国法人の設立も行なった。
もう伸びしろのあまりない欧米市場なんか気にせず、これからの巨大市場に目を向けている、という話は十分にあり得る。
なにげに、アドバンスDSムービー2006-07-21なんてものがこの夏開始されており、「プレイやん」のようにメディアプレイヤーとして携帯機を使おうって仕掛けだが、ゲームソフトダウンウロードも技術上は十分に可能な筈だ。
ただ、ゲームソフトのダウンロードも始めるかと言えば、しないとは思うんだが、「ソフトはダウンロードで手に入れる」という感覚を子供(や親)に教育する意味としては、悪くない効果を上げそうだ。
どこまでも多面的に布石を打っている任天堂に、調べてみて、ちょっとビビる。
参考:鳶嶋工房 / Game / Essay / ニンテンドウパワーの終了
参考:【TGS】任天堂が中国向けに新ハード「神遊」を発売。ソフトはダウンロード方式!
参考:任天堂が韓国現地法人を設立 / ファミ通.com