任天堂はプレイ方法を見せなかったことを反省している
思えば、ゲーム&ウォッチの「どこでもゲームウォッチ」のTVCMは、ゲームをプレイするシーン中心だったかと思う。色んなところでプレイできますよ、こんな風に遊ぶんですよ、と玩具ならば当たり前の売り方をしていた。
その後、ゲームが社会にある程度認知されたりインタフェースが固定化したりして、ゲーム内容さえ知らせれば十分に売れる状況になり、プレイ方法を啓蒙する必要性が薄れた時代があった。
しかし実情は「ゲームをプレイしていることを日常的な風景と感じない人」は、やはり多かった。このへんに気付いたのはNINTENDO64時代に入ってからと思われる。
ファミコン-スーパーファミコン時代に比べて、TVCMがゲーム内容中心からゲームをプレイする人やシーン中心にシフトしたのだ。
特に新しいインタフェースを投入するときは、人気の若い女性タレントに使わせるのが、どうも任天堂のパターンのようだ。
振動機能は広末涼子、タッチペンは宇多田ヒカル、マイク機能は松嶋菜々子。時代が移るに従ってCMから、どんどんゲーム画面がなくなっている。「ピカチュウげんきでちゅう」のマイクの綿引勝彦は例外的だが、アレは上手い手法だった。N64本体の売り上げアップにはつながってないと思うが、「親子でポケモン」のイメージを作るのに大きく寄与したのではなかろうか。
タレントを使うのは「ゲームをプレイするのは恥ずかしいことじゃないんだよ!」というメッセージもあるだろうし、コントローラの持ち方が分からないヤツに教育する、という目的も大きいのではないかと思う。
松嶋菜々子を見て「ああ、ああやって持つんだ」「ああ、マイクとの距離はアレくらいなのか」と学習した人手をあげろ!変な持ちかたしてたり、DSを口付けせんばかりに近づけてたりして使ってたヤツは、めっちゃ多いはずだ。
ファミコンミニのCMなどは、ほとんどゲーム画像は出ず、駅のホームなどでプレイする人中心で、ゲーム&ウォッチの時代にあった玩具への回帰を思わせる。
つまり、ゲームは生活にとけ込めるものなんですよ、怖くないんですよ、分からないものじゃないんですよ、こうやればいいんですよ、「あなたもプレイしていいんですよ」というわけだ。
FC、SFC時代のゲーム映像中心から比べると、購入前にテレビでゲームの動画が見れなくて寂しい気もするが、今はそういう情報が欲しいコア層向けに動画を自社のサイトに置ける時代だし、お試し版の配布に積極的な姿勢を見せつつある任天堂、ゲーム画像中心のCMが少なくなるのも当然と言えば当然だ。
もちろん、ゲームを売る客層によってCMのデザインも変えていて、ゲーム画像中心の物がなくなったわけでもない。CMでもかけられる予算の中で、全方位戦略を取っているのが見て取れる。