アホ毛



 アホ毛という呼び名が一般的になる前は、触角やアンテナと呼ばれていたが、バリエーションが増えるに従い、触角やアンテナとは言いづらいものも増え、総称と言えるアホ毛に吸収されていった。


 そもそもは理容系のジャーゴンとして、セットできずに跳ねた毛をアホ毛と呼ぶ。漫画やアニメでも、寝癖や疲れた時の表現として、普段は出ていないアホ毛を出すという使われ方が一般的だったが、徐々に常時出ているキャラクタが増えてきた。

 髪は一体のものではなく細い毛が密集して複雑な形、立体感を作っている。しかし絵で本物のの髪の立体感を出すのは難しい。

 そこで数本の毛に代表させて、立体感を出す方法がとられたのではないかと思う。ただし、3Dのフィギュアでも立体を強調する効果は高い。

 主にこの二者が融合し現在の状況に至っている、というところではないかと思う。


 また、アホ毛は感情を表したりする。場所や生え方によって微妙に異なるが、一般にびっくりすると直線的に立ち、元気な時は上向き、元気がないと垂れて前の方に、という感じで感情表現される。

 シッポや羽、耳などと同じ役割で、変わったところでは花飾りが感情をあらわしたりもする。いわゆる萌えキャラではないが、「ドカベン岩鬼の葉っぱ、が有名。

 アホ毛は、感情がストレートに出る動物的記号とも言える。


 さらにアニメーション的には、目パチや口パクと同様に、一部だけ動かすことで動きを付けることができるリミテッドアニメーション技法を使えるので、なかなか重宝する。

 少々崩れても、ものが髪の毛なので全然構わないのが目パチや口パクよりも優れている点。

ぱにぽにだっしゅ!」片桐姫子、「月面兎兵器ミーナ」六棟エスカルティンなどは、かなり自由自在なアホ毛だった。


 形状は主に、針金状、三日月状、あとは「名探偵コナン江戸川コナンのように、途中からすぱっと切れたもの、たまにカールしているものもある。


参考:アホ毛 - Wikipedia

頭頂アホ毛


 鬼太郎の妖怪アンテナからの発想で、アンテナというと一本頭頂部から出ているものを指すことが多い。

 萌えとしては比較的初期の「痕」柏木初音アホ毛は、非人間要素や妖力のような特殊な能力をもっていることを表していたが、すぐにそのような意味は薄れ、表情記号として使われるように変化した。

 また、「機動戦士ガンダム」で角付きのジオンのモビルスーツは隊長機とされており、そこから「特別感」の演出としてキャラのデザインに取り込まれたという流れも考えられる。

 アホ毛の中でも、頭頂から三日月状の一房が立っているタイプが、おそらくアホ毛の一番一般的な形。


Meたん」はじめ擬娘化キャラに多いような気がする。「はてなちゃん」は、はてなアホ毛?

Fate/stay night」セイバー、「らき☆すた泉こなた

Mアホ毛


 額の上から、二本一度上に伸びて前方に垂れる髪の毛。マクドナルドのロゴマークみたいにM字型になっている。

 昆虫…というより有り体に言ってゴキブリの触角に似ているので、触角と言われることも多い。

 そして連邦の白い奴のアンテナのイメージが間にMS少女をワンクッション置いて転用されたのも、容易に想像できる。

 勿論、アホ毛一般の機能も持っている。


魔法の天使クリィミーマミ」マミ、「カードキャプターさくら木之本桜、「ラブひな成瀬川なる、 「ToHeart」雛山理緒、「天上天下」棗真夜、「CLANNAD古河渚

しだれアホ毛


 額の生え際から出る細い数本の前髪。

 鼻の辺りまで垂らすと、沢山描かなくても目を覆う前髪のような効果を上げる。目を隠す前髪は、心を隠していることの暗喩として働き、神秘性を与える。


 また、のっぺりとしがちな漫画やアニメの顔に、情報量を増やすという役割もある。これは傷や鯨面、眼鏡、アホッペなどと同じ機能なので、これらと同時にあると、過剰な情報となり、少々うるさくなる。

 ちなみに、おでこを出した髪型だと額が寂しくなり、ついつい描いてしまう傾向にある。


ストリートファイターIII」いぶき、「BLEACH朽木ルキア

バニーアホ毛


バトルアスリーテス大運動会」神崎あかり、「錬金3級 まじかる?ぽか〜ん」ゆうま、「勇者王ガオガイガー卯都木命などに見られる。後ろ向きのMアホ毛

 アホ毛というより、ツインテールの変形としたほうがいいかもしれないが、現実にはありえない髪型という意味でアホ毛っぽい。

二葉アホ毛


 少年漫画では、むしろ一般的すぎてアホ毛と認識されていない。

 つむじの部分から、上下に一本ずつ出ているパターンが多い。

ミミアホ毛


 後れ毛が垂れたケモミミ状に横に突き出しているもの。

 キャラデザイン的には、まるっきりケモミミと同じ役割で、感情表現にも使われる。


まほろまてぃっく安藤まほろ

全方位アホ毛


 パーマを2D的に表現したもので、普通はアホ毛扱いされない。

ベティ・ブープ、「リボンの騎士サファイア