読み聞かせ


 任天堂「MOTHER」は相棒というシステムではない方法で口語を中心とする。

 絵本の読み聞かせに近い形をとった。


 糸井重里はMOTHERの台詞を書いていない、台詞を話してそれをタイプしてもらったのだという。

 漢字が使われていないのは、子供向けだからでは無い、幼稚だからでは無い、それが話し言葉だからなのだ。

 だから、MOTHERの台詞はグッとくるのではないだろうか。ディスプレイの向こう側で演技しているキャラクターの発した言葉ではなく、糸井重里が「きみ」に話しかける言葉だから。


 とはいえ、漢字を表示することに、ハードウェア・ソフトウェア的なハードルがほとんど無い現在も、ゲームは全て仮名でメッセージを書くべき、とは思わないが。


 ドラゴンクエストのコマンドが「たたかう」であり「戦う」ではないのは、話し言葉感を無くしたくないという意思の現れではないかと思う。