学生服

 萌え要素には学生服がカテゴリを作っている。制服を使う利点を考えてみよう。

 折角キャラクタデザインを行って差別化を行っても、制服着せたらみんな一緒で台無し。と思われるむきもあるかと思われる。
 ひとりのキャラクタデザインとして考えると、全身、満遍なく個性を出そうとすると、特徴が分散し逆に埋もれてしまう。また、集団となるとベースが一緒であるから、差が目立つという側面もある。

 私服は頻繁に変わるから記号化できない、という単純な理由もある。ファッションの系統は記号ではない。センスや知識が無いと系統を維持できない。誰でも使えるから記号としての価値がある。
 一応言っておくと、私服のファッションで個性化するのがよくないと言っているのではない。制服は固定しているので使いやすくて便利であるという話。

 なぜ、現在ではあまり見かけないか絶滅した服が未だに萌え要素として残っているのかも考えておこう。
 まずは現実で減った理由。ブルマやセーラー服が、萌えやエロの記号と化しブルセラショップなども発生、教育現場から避けるべきとの声が出たのは容易に想像できる。また、生徒の方からも古くさく可愛くないという意見が出たのではないかと思う。
 このへん、別に調べたわけではなく、単に憶測だが、おおむね間違いないだろう。
 しかし、オタクが成立した時代の風俗が萌えイコンとなり、現実の風俗との乖離を見せてもそのまま再生産により残った、というわけだろう。

 もうひとつ、学校の制服は思春期の記号であること。
 異性を意識し、恋をした時期を思い出させるフック(鈎)となる。
 ただ、ブルマ、セーラー服、スク水が実際の制服でなかった世代だと、どうしても効果が薄くなるのは否めないのではないかと思う。
 現実ではそうでなくても、繰り返し作品に現れることで、思春期的な物語が始まるのだ、という記号として教育される側面もあるので、やはり一定の効果はあるだろう。

セーラー服

 制服にブレザーが多くなっても、萌え要素の定番として存在する。
 セーラーカラーやスカーフひらひらが、可愛らしい雰囲気を作る。

スク水

 スク水ことスクール水着は、現実に見かけることがほとんどなくなっても、紺の昔のデザインのものを指す。
 ダサいレッグラインや胸の名札が、まだ女に目覚めていない雰囲気を作る。
 腹部の水抜きの横線が、パンチラ的構成を作り出しているのが、スク水特有のデザイン的面白さ。

ブルマ

 体操服が、スパッツや短パンが普通になっても、漫画やアニメでは、ほぼブルマ。
 もう単純に、太ももがむき出しになるのがいい。水着、レオタードのような萌え要素と同様に、準下着と言っていい恰好だ。
 ちなみに、上の体操服の裾をブルマに入れるか入れないかは、永遠の論争。

その他

 ジャージは体育に限らず、大掃除だの合宿だので着られるので、ちょっと特別感のある服である。
 ブレザーは今やセーラー服とほとんど同様の効果をもっているが、現実でマジョリティであるので、逆に萌え要素としての強度はセーラー服に劣る。
 萌え関連作品には、学園ものが非常に多いので、必然的に制服が萌え要素となるわけだが、SFやファンタジー世界でも、セーラー服の意匠が使われたりする。
 基本は同じであっても、どのように重ね着を行うかなど、キャラごとに細かい部分で工夫されていて、そのあたりに着目してみるのも面白いだろう。「涼宮ハルヒの憂鬱長門有希がカーディガン着用だとか。

 普段ならありえない組み合わせとして、セーラー服(上)にブルマを組み合わせたのは、山本貴嗣「最終教師」白鳥雛子1987が嚆矢だったと思う。
 スク水やスパッツにセーラー服を組み合わせたりするのもあり。
 ちなみに、絵のセーラーバニーは、セーラー服にバニー服という組み合わせで、 学生服+他の制服パターンだ。