任天堂はプロセッサ性能至上主義を反省している
おそらく任天堂は、既に陰りの見えていたハードである「ゲームボーイ」用の「ポケットモンスター」1996-02-27の大ブレイクで、プロセッサ性能至上主義に見切りをつける覚悟が出来たのではないかと思う。
ただし、64が発売されたのは1996-06-23であり、もしその時点で64の計画の失敗に気づいていたとしても、もう後には戻れない状況であるし、まだ失敗が決まったものでもない。
そんな状態での出航は結局、マシン名に自慢げに「64」とスペックが入った、サターンやプレイステーションに比べて圧倒的な超高性能マシンでも、市場に受け入れられない、という反省のネタを仕入れる結果となった。
元任天堂開発部長の横井軍平氏は「枯れた技術の水平思考」という賢者の言葉を残している。最先端技術ではなく既にこなれた技術を、まったく別の使い方をする事で新しい価値を作り出そう、ということだ。
特にファミコン以前では、この言葉通りの「あっと驚く既存技術の遊びへの転用」を得意としていた任天堂だが、主力機であるはずの64は、この先達の言葉と別の方向に走ってしまっていた。
とはいえ、当の横井氏が陣頭指揮を執った「バーチャルボーイ」1995-07-21は、プロセッサ至上主義への反旗を翻したものの、セールス的に失敗に終わったのは勿論、ソフト史的にもサードパーティーのT&E「レッドアラーム」以外ぱっとしないというのは、そもそも任天堂にやる気があったのかどうかを疑わせる。
ちなみに、バーチャルボーイは「ファミコングランプリII 3Dホットラリー」1988-04-14で採用された3Dシステムの延長線上のアイディアだ(ハードウェア技術的には全く別ものだが)
DSやWiiでは採用されていないが、この3D技術も将来、反省の上に立って逆襲を試みる気、だと予想している。任天堂はしつこいのだ(いま任天堂が、DSの二画面を使った立体視で3Dゲームを作ってても驚かないぞ)