瞳の色
目はキャラクタの中でも特に重要な要素で、様々な工夫が加えられている部分である。そのためとてもではないが一度では語りきれない。
そこで今回は色、しかも瞳のみに絞って考える。
目は髪と異なり、現実にも黒・茶色・青・緑などのバリエーションを最初から持っている。そのため単に色がついているだけではさほど特殊感は出ないものの、逆にいえば使いやすいものだった。
しかし初期はキャラの描き分けのために使われることはあまりなく、髪と同様に「西洋人だから青」というように、現実の色に則して設定されていた。
黒・茶色
当たり前のことを言うようだが、日本では珍しくない目の色だ。
また、漫画という白黒メディアの派生という側面が強い日本のアニメで黒い瞳が使われたのは必然だろう。
碧眼・翠眼
昔は外国人というだけで、異世界の住人として十分な資格を持っていた。
特に金髪碧眼の女性は外国人の象徴として、2008年現在も根強い人気がある。
エメラルドグリーンなどの緑も、ほぼ同じ文脈で使われるが、青い瞳ほどの人気はない。
逆に本来なら青い目をしている筈のヨーロッパの主人公を、視聴者に親しみを持たせるために黒い瞳にする、ということもあったようだ。
カラーバリエーションの発生
アニメキャラの髪色にバリエーションが出始めたのと期を一にして、瞳の色はキャラクタの出自を示すものから、画面映えを優先するようになる。
例えば「魔法のプリンセス ミンキーモモ」1982モモはピンクの髪に対して映えるように緑の瞳をしている。
また、初期のコンピュータゲームでは、色数が制限されることが多かったため、単純に髪や服の色と同じになったりすることが多かった。特に敵である場合は色違いキャラクタのバリエーションが多数登場し、これらが目の色のバリエーションを増やす切っ掛けのひとつにもなったのは確実なところだろう。
初期とはいえないが「ときめきメモリアル」藤崎詩織 1994の目が赤いのは、この理由だろう。同タイトル内の他のキャラもほぼ髪と目の色は同じである。
もうひとつはカラーコンタクトの登場で、髪と同様に現実にも様々な瞳の色をした人が現れ、目の色が違うことに対する違和感が減ってきたということも大きい。
オッドアイ
左右の瞳の色が違う(オッドアイ)は、特別感のある特徴である。
漫画やアニメだと左右を間違ってしまうことが多いので、小説や単発のイラストで使いやすい特徴である。
一度は作ってみたくなるオリジナルキャラの特徴であるが、大抵の場合は他に特徴らしい特徴を出せないことの裏返しだったりする。
実際に存在するものとしては猫のオッドアイが一番有名だろう。人間にも微妙に違うぐらいのひとは割といる。
色の組み合わせによっては、片目(眼帯)のような雰囲気を作る。
「ローゼンメイデン」翠星石、蒼星石、「リリカルなのはStrikerS」ヴィヴィオ
赤い瞳
瞳の色でも、ことのほか特殊性の強い赤を代表として取り上げて、瞳の色の効果を考える。
赤い瞳は、別種族のシンボルとして、特に色素の薄い肌や髪と合わせて吸血鬼のシンボルとして使われる。
「ヴァンパイアハンター」レイレイ、「青の六号」ミューティオ、「BLOOD+」音無小夜。
異星人のシンボルとしてもよく使われるが、全宇宙人が赤であることは稀。
謎が多いのではっきり言えないが、「新世紀エヴァンゲリオン」綾波レイはここに入るのかもしれない。
「天地無用! 魎皇鬼」阿重霞、砂沙美、柾木阿知花、「マクロスFRONTIER」ランカ・リー。
また、アンドロイドやサイボーグなどの機械の目の表現としてもよく使われる。
コレは 「ブレードランナー」や「ターミネーター」のイメージが強いだろう。単に赤いだけではなく光るとより一層機械を感じさせる。
「戦え!!イクサー1」イクサー1、「攻殻機動隊」草薙素子他。
特殊な能力の持ち主の象徴としての赤い瞳。能力解放時のみ目の色が変わるというパターンは多い。
「ジャイアントロボ THE AMIMATION」サニー・ザ・マジシャン、「スレイヤーズ」リナ・インパース、「ベターマン」彩火乃紀、「灼眼のシャナ」シャナ。
ウサギキャラだから、という理由で赤なキャラも少なくない。
「美少女戦士セーラームーン」ちびうさ、「デ・ジ・キャラット」うさだ、「月面兎兵器ミーナ」ミーナ達
他の目の色もそうだがチーム構成のキャラ分けのための瞳の色として赤い瞳が使われることもある。ちびうさも、こちらに近いかもしれない。
「魔法騎士レイアース」獅堂光、「セイバーマリオネット」ブラッドベリー、「おジャ魔女どれみ」どれみ。
綾波レイが登場した時点では、確実に人間以外のものを暗示していた赤い瞳だが、「彼氏彼女の事情」の時点で既に描き分け記号のひとつ程度になっている。
「アキハバラ電脳組」に至っては、赤い目が流行だから赤くしてみた、という感もある。
更には、おそらく「ギャラクシーエンジェル」ヴァニラ・H、同じくブロッコリーの「デ・ジ・キャラット」でじこ(リニューアル版)は、みんな綾波レイは知ってるよね、というノリでデザインされたものかと思う。キャラクタの本歌取りである。
あまりに頻繁に使われるようになったので、今や茶色より目立つ程度の特徴にしかならない。
黄色い瞳
黄色い瞳は赤と同様に特別であることを示す記号ではあるが、ネコを思わせるため気まぐれな性格を表すのにも使われる。
また、髪が緑や青で重い感じがする場合に選択される傾向もあるようだ。
黄色はほぼ白と認識されるため自然なので、あまり黄色目そのものは印象に残らない。潜在意識にさりげなく働きかける色といえる。
「涼宮ハルヒの憂鬱」は男性も含め「主人公側」を意味するシンボルとして黄色の瞳が使われている。
どんな髪色と合わせても、それなりに見栄えがいいので「しゅごキャラ!」「仮面のメイドガイ」など、現在は多用される傾向にある。
おそらく今期(2008前期)のアニメのほとんどに、主要キャラに一人は黄色い瞳のキャラがいるのではないだろうか。
「太陽の王子ホルスの大冒険」ヒルダ、「ガルフォース」キャティ、「吸血姫美夕」美夕、「機動戦艦ナデシコ」星野ルリ、「カウボーイ ビバップ」エド、「ジオブリーダーズ」まや、「涼宮ハルヒの憂鬱」 涼宮ハルヒ、朝比奈みくる、 長門有希、「コードギアス反逆のルルーシュ」C.C.、ヴィレッタ、「機動戦士ガンダム00」王留美、ソーマピーリス、ネーナ。
…そう言えば「鋼の錬金術士」エドも黄色瞳だな、男だけど。
紫の瞳
紫は一見した印象としては黄色と近く、特別感は欲しいが赤ほどは目立たせたくはない、という場合に使われる色。
赤が飽きられたので、もう少し別の色を、という選択かもしれない。
「交響詩篇エウレカセブン」エウレカ・アネモネの紫の瞳は、物語上の重要な意味を持っていたりする。
その他
他にもピンク・グレーなどもいるが少数。
アニメキャラの多くは目が大きいとはいえ、髪ほど印象を左右する訳ではないので、それほどバリエーションを必要とされなかったということはあるかもしれない。
逆に言えば、まだまだこれから使い甲斐のある要素といえる。
Flashで瞳の色を変えて遊ぶの作った→ http://www.tonbi.jp/Flash/Diary/035/